先日、観劇した新国立劇場「ヘンリー6世」。
一番気になったものが、
第三部で王の座についたエドワード王(今井朋彦)が
身につけていた衣装でした。
「五七ノ桐」を胸・襟・腰・袖・背中・ポケット(飾り?)などに
豪華に金糸を使用し表現したジャケットです。
それはもう、織りやプリントでは表現しきれない
立体感やキラキラ感(色と光の反射具合)で
ぜひ、近くで拝見したいと思いました。
もちろん、それは叶わなかったのですが、
伺った話によると、
「大礼服」というもので、
アンティークを使用、
近くでみるとかなり痛んでいるとのこと。
江戸時代の衣装などは、
よく展覧会でも陳列されたり、
写真やテレビでも取り上げられたり、
よく見ていましたが、
洋服で、日本のもので、
そんなに刺繍を使用した衣装があるとは、
思ってもみなかったため、
大変驚きました。
そして、家に帰ってさっそくウィキペディアで調べてみると…
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%A4%BC%E6%9C%8D
どうやら、明治のはじめから敗戦時まで使用されていた
貴族・文官・武官等が着用する最高の礼装である制服だそうで。
身分や職務によって、刺繍の量が違ってくるという話。
今井さんが身につけていたものは、
どうやら「勅任官大礼服」というもののようです。
(もちろん、劇中でのエドワードは、ジャケットのみを使用し、
下には臙脂のシャツと皮パン、ブーツという姿だったので、
ウィキペディアなどに載っている写真とは大分印象が違いますが)
私はまた、「五七ノ桐」が使用されているし、
(その時は「五三の桐」だと思っていた。
桐の花の量が違い、菊の御紋に継ぐものとして
高い位の人たちの間で使われたものが五七ノ桐で、
庶民に広まったものが五三ノ桐、らしい)
アンティークで、時代も分かっているならば、
誰が使用していたものか、すぐにわかるではないか!!!
と驚いて、調べ始めたのですが、
なんとまぁ、無知をさらしたというのでしょうか、
一般的な(とはちょっと違うけど)制服だったというから、
これまた驚いたのでした。
ウィキペディアの説明によると「絡縫」とあるので、
(
「駒掛け」(「駒取り」「金駒」「駒繍い」「駒留」などともいう)
のようなものでしょうか。
遠くからしか見ていませんが、
肉入れ(中に綿などを入れ、立体的に仕上げている)
もしてあるように見えました。
京都の
風俗博物館や
名古屋の
明治村
などでも実際に見ることができるようです。
江戸時代や桃山時代などの遠いではなく、
明治から昭和の初めにかけてという、
本当にまだ近い時代に、
あれだけの刺繍が、
それも洋服に用いられていたというのは、
とても驚き、大変勉強になりました。
そしてまた、本物の刺繍というものが、
どんなに古くなっていたとしても、
舞台上であんなに映えるということを
改めて感じたのでした。